【ロシアW杯アジア最終予選】日本代表vsオーストラリア 「勝ち点を手に入れるために守備的なサッカーを採用できることが日本のサッカーの革命の一歩となる」

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今回も選手のコメントを拾っていきながらレビューを書いていきます。

 

 事前のプラン通りの守ってカウンター

想定というよりは、最初からしっかりと引いて、ブロックを作ってショートカウンターで、というのが今日の狙いでした。

 -山口蛍選手 試合後コメント

 

とにかく真ん中を通させないというか、しっかりとブロックを作って中を閉めるというのはかなりやりました。それプラス、奪ってからのカウンターの練習も少なからずやりましたけれど、それはもうちょっとよくしていかなければいけないと思います。

 -長谷部誠選手 試合後コメント

 

他の選手たちも口々に答えていましたが、今回の日本代表は現在アジア王者のオーストラリアをリスペクトして、

 

しっかり守ってカウンター

 

というサッカーを採用して試合に臨んでいました。

 

ハリルホジッチが監督になってから一貫してきたやってきた前からのプレスは鳴りを潜め、できるだけ自分たちのゴール近く戻ってみんなでディフェンスをする戦いぶりでした。

 

相手に奪われた瞬間は、素早く激しく奪い返しに行ってましたが、ここ最近の試合とは様子が全く違いました。

 

2試合とも全然違うゲームだったので、一概にどうかという評価は難しいと思います。ただ、初戦であのように内容はともかく気持ちを見せて勝った。そしてアウェーに来て、自分たちの戦術は、監督が真骨頂としているのかは分からないですけれど、引いてブロックを作ってそこからカウンターというやり方の中で結果が出れば最高でした。

-長谷部誠選手 試合後コメント

 

ハリルはクラブの監督のように相手によって戦い方を変える

この試合ではっきりしたことは、

 

ハリルホジッチは相手によってサッカーを変える準備をしている

 

ってことですね。

 

これは前回の2014年ブラジルW杯でアルジェリア代表を率いていたときも同様でした。

 

相手によってフォーメーションと戦術を使い分けることで、

 

 

  1. 的を絞らせない
  2. 相手の良さを消す
  3. 自分たちの良さを出す

 

 

サッカーには

 

サッカーは長さの足りない毛布と一緒だ。足下を温めようとすると頭が寒い。頭から被れば足が出る。

 

という、ジジ(50~60年代に大活躍したブラジルの名ゲームメーカー)が残した名言があります。

 

最近の世界のトップレベルのチームは、クラブの哲学を貫いたサッカースタイルや監督の持ち込んだ戦略・戦術を持ちながら、

 

事前に徹底的に相手チームのスカウティングをして、サッカーの寸足らずな部分を利用して、勝ちを手繰り寄せるようになってます。

 

「寸足らず」ということは、どれだけ素晴らしいサッカーをしていても足りない部分が必ず出てきます。だから、少しでも勝つ可能性を増やすために、相手によって変化する用意を毎試合やっています。

 

ハリルホジッチは日本代表でもそれをやろうとしています。

 

  • 4-2-3-1
  • 4-1-4-1
  • 4-4-2
  • 3-4-3

 

フォーメーションで言えば、この4つは用意するんじゃないでしょうか。

 

そして、

 

後ろで固めてカウンターもできて、

前からボールを奪いに行ってショートカウンターもできて、

相手によってはボールを支配する。

 

と、戦い方を使い分けられたら最高です。

 

トップクラブは試合中にもどんどんフォーメーションや戦術を変えていきます。その相手の変化に対して選手交代で戦況を変えたりして、観ていてとても面白いです。

 

ただ、監督も選手も人間なので、選択に間違いがあったり、監督の指示で選手が混乱したり、選手が勘違いして理解したり、それもまた観ていて面白いです。

 

それはさておき、

 

自分たちの特性を活かしながら、得意な形を持ちながら、相手によって形を変える

 

具体的には、

  1. 的を絞らせない
  2. 相手の良さを消す
  3. 自分たちの良さを出す

これが高いレベルで実現できれば、勝利の確率を大幅に上げることができます。

 

変化をする準備はとても大変だが、ハリルは当たり前のようにやる

ただ、「相手に合わせた変化を高いレベルでやること」は言うは易く行うは難しです。

 

基本的にはどんな物事でも、自分の得意な形や武器を持って、それを丁寧に磨きながら、それを出せるポジションで力を発揮するのが普通です。

 

その武器は付け焼き刃では通用しないし、ポジションが違えば力が出せません。

 

営業職と管理職

接客と営業

開発と販売

MCとアシスタント

監督とコーチ

社長と秘書

 

自分の仕事の内容によって持つべき武器は変わってしまいます。

 

どれもできるってのはいいんですが、器用貧乏になってしまう可能性が高く、対応はできるけど、どれもこれも中途半端で、結果が出なくなる。

 

話題にはついていけるけど、深い話になったら全然分からなくなる的なことになってしまいます。

 

変化ができる準備をするというのは、とてもリスクがあります。

 

代表の試合は集合解散を繰り返すチームであり、一つのサッカースタイルを練り上げるだけでも大変です。

 

自分たちの一番力ができる形を追い求める方が、よっぽど分かりやすいし、やり易い。

 

プレーする方も、指導する方も、観ている方も、解説する方も。

 

しかしながら、自分たちのサッカーを信じて貫こうとした結果、2014年のW杯では一勝もできずに大会を去ることになりました。

 

相手に研究され尽くされ、得意な形を出すことができず、弱点を突かれました。その他の問題もあったかもしれませんでしたが、ダメだったときのオプションがなかったことで、手の打ちどころがありませんでした。

 

 

前回の記事で、

日本代表はデュエルをベースにした 今まで日本がやってこなかったサッカースタイルに挑戦している

 

ということを書きました。

 

teppenfc.hateblo.jp

 

さらに、今回のオーストラリア戦では後ろを固めたカウンターサッカーを展開したことで、これからのアジア予選、そしてロシアW杯でも相手によっては変化をするつもりがあるという姿勢をハリルホジッチが示したことになります。

 

2試合とも全然違うゲームだったので、一概にどうかという評価は難しいと思います。ただ、初戦であのように内容はともかく気持ちを見せて勝った。そしてアウェーに来て、自分たちの戦術は、監督が真骨頂としているのかは分からないですけれど、引いてブロックを作ってそこからカウンターというやり方の中で結果が出れば最高でした。

-長谷部誠選手 試合後コメント

 

先ほど引用した長谷部選手のコメントですが、

 

「監督が真骨頂としていなくても」当たり前のように変化する

 

というのがハリルホジッチなんだと思います。

 

あくまでもハリルホジッチは、前からアグレッシブに守備をしていきながら縦に速い攻撃を打ち込むサッカーを軸に据えてチーム作りをしていますが

 

高いレベルで相手によって変化する

 

という世界基準の戦略を当たり前のようにやっていくようです。

 

今の日本代表はロシアW杯で勝利の可能性を少しでも高められるように、ここでも挑戦を重ねています。

 

後ろで守る守備はしっかり機能していた

確かにボールを持たれている印象はありましたけど、そんなに危険なパスもなかったですし、どちらかというと持たせている感覚を持とうと選手みんなで言っていた。みんなも疲れていなかったですし、危険な攻撃も仕掛けられることもなかった。いい守備からいい攻撃、いいカウンターがハマっていたという印象を持っています 

 -槙野選手 試合後コメント

 

前半は手応えがすごくよかったです。ほとんどチャンスも作らせなかったし、失点はPKなので。守備のオーガナイズというよりはアンラッキーなところがありましたけれど、全体的には悪くなかったです。相手がどういうサッカーをしてくるのかがかなり明確になったので、次はホームでしっかりたたけるようにしたいと思います。 

-吉田選手 試合後コメント

 

(思い当たる課題は)多いです。守備もそうですし攻撃も。やっぱりこの短期間でイラク戦から全く戦術を変えて、アウェーでとにかく勝ち点は絶対に取りたいと思い、最低限の勝ち点は取れた。とはいえ、内容はいいように支配された。「支配させる」という感覚で前半はちょっとだけいられたんですけれど、後半は「支配される」に変わったと思います。これは大きな課題だと思っています。後半も「支配させる」という感じのゲームプランのまま2点目を狙いにいけたのであれば、もう少し評価はできましたが、後半はちょっと反省の方が多かったです。

 -本田選手 試合後コメント

 

選手たちはオーストラリアに対して、課題はあれど手応えがあることを口にしています。

 

ハリルホジッチ

我々は全然危険じゃなかった。ほとんどチャンスを作らせたなかった。この守備に関しては規律もって、オーガナイズが準備できた。ボールを奪った後に少しあわてた思うが、最初のパスが少し確実ではなかった。あとは逆サイドもすこし足りなかった。ただ、選手みんなにおめでとうと言いたい。

ハリルホジッチ監督 試合後コメント

このように語っています。 

 

日本代表は組織的にかなりいい守備をしていました。

 

ボールを持っている選手に常にプレッシャーがかかるように、全体が動き、球際では激しく当たることでできていました。

 

お互いに声を掛け合いながら迷いなく、一人一人が動けていたと思います。

 

原口選手や長谷部選手はクラブやっていることがそのまま活かされていて、頼もしかったです。香川選手も昨シーズンはクラブでトップ下の位置で重要な守備を担っていましたので、効いてました。

 

この辺の選手のチョイスはハリルは相当考えているんだろうなと感じました。

 

後半劣勢になったのは、クラブでプレーできていない選手たちの体力不足。

最後の15分は守備の出足が遅くなり、プレッシャーがかからなくなってました。

 

それでも、ゴール前では安定感のある守備で相手の攻撃を跳ね返していました。

 

オーストラリア相手にあれだけ危なげなく、力と力のぶつかり合いができている日本代表は見たことがありません。

 

もっと面白いサッカーを観たい気持ちはありますが、粘り強く、どっしりとした試合運びができたのは、大きい収穫だったんじゃないでしょうか。

 

これが、

 

アフリカ勢に通用するのか、

南米勢に通用するのか、

欧州勢に通用するのか、

強豪国に対して通用するか、

 

それを確認したいところですね。

 

このサッカーで成功することは日本のサッカーの革命を意味する

今回も長々とレビューを書き連ねてきましたが、今の日本代表はとても大きなことに挑戦をしています。

 

岡田監督時代では直前に自分たちのやりたいサッカーを直前に諦めて、後ろに重心を置いた守備でベスト16を手にしました

 

ロンドン五輪では死なば諸共の前からガンガンいこうぜプレッシングサッカーで世界を驚かせましたが、トーナメントに進んでからガス欠してしまい、3位決定戦で韓国に土をつけられ、悔しい思いをしました。

 

ザッケローニ時代は自分たちのやりたいサッカーを貫き通し、ロマンに生きましたが、現実的に戦ってくる相手にオプションを用意できず、一勝もできませんでした。

 

そういう歴史の中で、

勝つために変化するサッカー

という大きな挑戦をリスク承知の上でやってます。

 

海外のトップレベルの選手は当たり前のようにやってることです。だから、代表に行っても対応できます。

 

日本代表の選手は、戦術のトレーニングを育成年代でほとんど受けることなく、欧州に行っても中堅クラブでは相手に合わせて変化をするサッカーはしません。試合に出れていない選手もたくさんいます。

 

そんな中で、W杯は出るけど、記録としても、記憶としても、結果が出ずに停滞している日本代表のサッカーを変えるべく、代表戦士たちは挑戦しているわけです。

 

アグレッシブな守備をベースにしたカウンターサッカー

相手に合わせた高水準の戦術の出し入れ

 

ここへの挑戦。

 

もし、これがロシアW杯までに間に合えば、

日本のサッカーに革命が起きます。

 

勇気を持ってプレーすることを教えてくれます

戦術の引き出しが必要なことを教えてくれます

対応力、応用力が必要なことを教えてくれます

机上の空論を実現するための体力が必要なことを教えてくれます

 

テクニックとか決定力とかパワーとかスピードとか、

繋いだ方がいいとかカウンターがいいとか、

そういう分かりやすいものが課題なのではなく、

 

そのときどきのベストを模索しながら、リアルタイムに変化する力について大きな気づきを与えてくれるでしょう。

 

スーパーなFWがいなくても、

魔法のようなテクニックを持つ10番がいなくても、

全てをぶち抜くスピードスターがいなくても、

あらゆる攻撃を跳ね返すDFがいなくても、

 

戦い方や臨み方で、勝利を手にする大きな可能性があることを、僕らに与えてくれると思います。

 

そのためのカウンターであり、

そのための相手に合わせての変化であり、

苦しい時間帯はみんなで耐え、

時には強豪国に対して小気味いいパス回しをやってくれるでしょう。

 

ザッケローニから、ハリルホジッチへの橋渡しは、それこそ大きな変化ではありますが、ここを繋げることができたら、面白いことになると思います。

 

ただし、どれだけいいサッカーをしても、負ければ〇〇が足りなかったと批判されておしまいです。

 

しっかり結果を出してもらって、何が良かったのかを考察することで、日本のサッカーの未来を紡ぐ一歩にして欲しいです。

 

そう考えたときに、雑草色の強い今の日本代表の面々には「可能性を最大限に生かすために工夫する」という取り組み方を日本人に示すというのは、ピッタリの使命なんじゃないかなと思います。

 

ついでに、これからの社会で求められる力というのは、何かに執着するのではなく変化ができる力であり、サッカー日本代表がロシアW杯で結果を出すことはとても重要なことだと思います。

 

最後に

あと2年しかないので片手落ちにならないかが心配ですし、そもそも「最終予選大丈夫?」という不安でいっぱいです。

 

ただし、「今日はどんなサッカーやるんだろう?」というのを観る楽しみが出てきました。

 

来月は

 

11/11 19:20 親善試合 vsオマーン

11/15 19:35 ロシアW杯最終予選 vsサウジアラビア

 

11月は(W杯予選が)1試合しかないですけれど、ホームの(サウジアラビア戦)前に親善試合(オマーン戦)があるので、コンディションは今回よりかなりよくなると思います。あとは僕も含めて各々がチームで試合に出られれば、もっと良いコンディションで代表に合流できると思うので、ここから1カ月、それぞれの戦いが待っているので、しっかり良い準備をして各チームで結果を残していきたいと思います。

 - 吉田選手 試合後コメント

 

吉田選手も言うように、Bグループ首位のサウジアラビアとはコンディションが整った上でのホームの試合となり、とても楽しみな試合です。

 

サウジアラビアとの重要な一戦を迎えるために、オマーン戦ではどんな選手を選び、どんなサッカーをやるのか、ここもとても楽しみです。

 

最後に順位表を貼っておきます。 

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サッカー日本代表‐ワールドカップ 最終予選 - 大会情報 - スポーツナビより引用

 

 

お読み頂きありがとうございました。

このブログは日本代表がW杯で優勝するまで続きます。

 

 

※監督・選手のコメントは以下より引用させて頂きました。

www.jleague.jp

 

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